矢郷良明 LIFE philosophy @deracine5to1

思考と哲学の旅日記

矢郷先生のSMASHコラム

『週刊 矢郷論説委員長のSMASHコラム 第四回』
ニュースの焦点 特別版

★8・11『SMASH.20』後楽園ホール大会を大成功したSMASHが目指すべき、今後の「在り方」とは?

大会を重ねるごとにSMASHは進化し続け、過去の大会から比較して大成功と思われる、8・11『SMASH.20』で、より一層の求心力と存在感を出しました。
それは、SMASHが人間の心理に忠実なドラマツルギーを用いた、プロレスリングを創立当初から展開してきたからでしょう。
その原動力は、TAJIRIさんがプロレスリングの芸1つで世界を渡り歩き、WWEでも日本人選手として最高の実績を残しながら、今なお「プロレスリングとはなにか?」を探究している真摯さと、その姿勢がSMASHのファンダメンタルに流れているからでしょう。
それに呼応するように、日本から、世界から、男女問わず、面白いレスラーが、まるでユングの言う“シンクロニシティ”の如く、自然に集まり出し、SMASHワールドを構築しています。
いま、お客さんが観ているSMASHこそ、プロレスリングのエッジーだと思います。
そして、SMASHの会場にお越しになられるお客さん達も、このSMASHワールド構築の共同作業者であります。
あのECWが“Join The Revolution!”をキャッチフレーズにしていましたが、奇しくも、その精神はECWで大活躍したTAJIRIさんがコアとなる、SMASHに受け継がれ、お客さんと共に、具現化されたのです。
SMASHの会場に来られるお客さんはそれを誇りにしてもいいんじゃないでしょうか?

appreciate everything and everybody.

★プロレス業界は現在、不況下の中でも興隆の兆しがあり、またプロレスブームを巻き起こす可能性の種が、あちこちに見受けられるます。
SMASHの勢いもその一端でしょう。
そのプロレス興隆の兆しを感じてか、プロレスメディアはイッキに“メジャー団体押し”の風潮になりました。
何故、プロレス興隆の兆しに、メディアはメジャー団体を押すのでしょうか?
それは、
「富める者をもっと富ませ、時間経過により、その富める者が持つ財を貧者も持つことができる」
という、世界の資本主義社会が基本にしている、ハイエクの経済学をそのまま踏襲しているからだと思います。
当然、日本の政治もそれを基本にして経済を回してます。
例えば、携帯電話は発売当初は一部の富裕層しか持っていなかったのに、今では小学生でも携帯電話を持ってます。これがハイエク型経済の結果です。
しかし、ハイエク型経済は「持続して経済成長し続けられること」が前提でして、地球の環境や、現在のエネルギー問題は、その限界を示していると思います。
しかもハイエク型経済は格差社会も産む原因にもなってます。
ハイエク型経済は時が経つごとに、世の中を発展させますが、永遠にその中での金持ちと貧乏人の差は縮まりません。
そして「人の不幸の上に自分の幸福を作る」のが、ハイエク型経済の本質と言っていいでしょう。
残念ながら、プロレス界も「誰かの犠牲によって、スターが生まれる」というシステムにハマってます。
プロレス業界も今後、(プロレス業界に本当にブームが来るかは別として)格差は必ず広がり、業界内も淘汰もされていくと思います。
その様な流れの中でSMASHはどのような「在り方」を目指せばよいのでしょうか?
SMASHには、名も無き選手を輝かせ、レジェンドレスラーをレジェンド以上に輝かせ、旧来の女子プロレスを打破し、SMASHに関わる誰もをハッピーにさせる磁場があります。
これはまさに、ハイエク型経済に対抗するといわれる、「公平分配社会」を唱える、“ケインズ型経済”の世界まんまであります。
SMASHは、プロレス界に流れる、従来のハイエク型経済的な発想に対抗すべく、「人の不幸の上に自分の幸福を作ろうとしない、公平分配を基軸とした、誰もが輝ける」という、ケインズ型経済的思想をプロレス界に打ち出していただきたいです。
それがプロレス界の流れを根本的に変えるキッカケになるのではないか?と思うのです。
そして、SMASHにはプロレス業界の1つのコンテンツとして存在するのではなく、プロレス業界を超越した新しい、“世の中とプロレスする”、スポーツエンターテイメント団体を目指して行っていただきたいです。
これが、SMASHのこれからの「在り方」ではないか?と勝手に思ってます。

欲を言えば、もう1人、核となる日本人選手が居るといいですね。

もっと欲を言えば、矢郷良明先生の試合もまた組んでください(笑)。

第四回 完