déraciné

思考と哲学の旅日記

矢郷先生のスマッシュコラム!

『矢郷論説委員長のSMASHコラム』第二十八回
ニュースの焦点


2.19 SMASH 25 TDCホール大会で、メイン後にデーブ・フィンレー選手がTAJIRI選手に言った、「keep wrertling classic!」の名言は、オーディエンスの皆さんのみならず、選手達に深い感銘を与えました。

先週もサムライTVのプロレスニュース番組のコメンティターに出演されていた、新日本プロレスライガー選手も、フィンレー選手の“キープ・レスリング・クラッシック”の言葉にいたく感銘され、御自身もそれを貫きたい旨の発言をされておられました。

この“キープ・レスリング・クラッシック”の言葉、私がプロレス業界に入った七年くらい前から、「プロレスはクラッシックなもの、トラディショナルなものに戻さなければならない」と選手間で言われ始めてました。

それではクラッシックなレスリングとはなんでしょうか。


プレイヤーは、プロレスリングの試合の組み立てを考える時、まず、相手にプレッシャーを与えることを考えます。

リング入場時にお客さんの意識を自分に向かせる入場の仕方を考え、無意識にお客さんが自分の味方をしてくれるようにと、考えます。

それだけで相手はプレッシャーを感じてくれます。

ゴングが鳴りコンタクトをするまでも様々なマインドゲームを仕掛けています。

そして、コンタクトするんですが、打撃が得意な人は打撃から入りますが、大概の選手は悪党でも、善玉も、ロックアップからスタートします。
このロックアップは組んだ瞬間に相手のパワーとバランス感覚が伝わって来ます。

そして、ここからレスリングを仕掛けていくのですが、ここで、相手の弱い部分を探し出します。

“腕が弱いかとか、脚が弱いかとか、腰か”などを探りながら、攻めて行きます。
そしてウイークポイントを見つけ、そこを集中して攻撃します。

その時、お客さんの声援も重要になります。
それは攻めている自分だろうが、攻められる相手にだろうが、声援がどちらに集まろうがかまいません。
とにかくお客さんに声を出してもらうことが重要になります。

それは、攻めらる側の心理として、自分が応援されても、攻めてる相手が応援されても、自分がピンチであることの認識が深くなるので、どんどん焦っていくのです。
こうやってお客さんを巻き込んで自分に有利な試合展開に持ち込み、そして、自分のアドバンテージのある技で攻めていきます。

集中して一箇所を攻められれば、その箇所のダメージはどんどん高くなっていきます。
そして、このまま最小限のリスクを犯さない技だけで、自分の得意技にまで持っていき、フィニッシュに繋いで勝利、となるわけです。

上手い人になると、意識が攻められる部分に集中しているので、逆に他の部位の意識が疎かになり、“必殺”と呼ばれるクラスのフィニッシュを持つなら、攻めていた部位以外への技でも、終わらせることができるようになります。

打撃格闘技で、ローキックが効いてたら、ハイキックで倒せる確率があがるのと同じことです。


これが簡単に説明した、オーソドックスな、リスクを減らした、自分が勝つためのセオリー通りの闘い方なんですが、このことが、“クラッシック・レスリング”と呼ばれているものだと思います。

近年はいろんなことを誤解して、試合をする選手が増えたのをレスリングマスター達は嘆かれています。

私はローリスクで、勝利を目指して闘うレスリングというものが当たり前だと思いますし、それを実践し、学び続けたいと思っております。

プロレスは興行でありますから、哲学や思想より、お金になることを重要視しがちで、ポピュリズムに陥りがちになります。

そこでいかに自分の意思や哲学を通すか。

そこからすでに、“レスリング・クラッシック”の闘いは始まっていると思います。

フィンレー選手が、そして、TAJIRI選手が伝えたいことはそういったこともあるのではないか?と思う次第であります。