déraciné

思考と哲学の旅日記

価値創造

◆パラパラと見ていた雑誌に平家物語のことが書かれていたので読む。
テレビで義経などが放映されていて、平家物語が見直されているようです。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす…」
小学生の時に平家物語の書き出しを暗記させられました。
この平家物語
【人間の無常の世にいかに生くべきか?】
が書いてあります。
◆『風の前の塵に同じ』と書かれるように、平家物語は無常観がすべてのように感じられますが、
『人が生きるための真理』
が著されています。
吉川英治氏の「新・平家物語」に
過ちを犯し一度は死を思い立った清盛の知人、遠藤武者盛遠についての感慨が書かれていて
『生々久遠の美と光を持つ日輪の前に、悩むこと、惑うこと、苦しむこと、何一つ、価値があるとは思えない。―だが人間はある。果てなく生まれ次いでゆく。宇宙観の冷厳だけでそれをいいきってしまえば、人間とはあまりにも微小であわれ過ぎる。せめて人間の範囲で、価値を見つけて生きいうのが、はかない者同士の、世の中というものではあるまいか。―と、思い出した彼は、何か、地上の価値を見つける者のひとりになろうと思った。
生きる愚よりは、死ぬのは、なお大きな愚だと思った。』
と書かれています。
◆はかない権力や栄華を、永遠のものと思い、争い求めたとしても、結局は空しい人生に終わってしまいます。
大宇宙と比べれば人間の営みなどとるにたらないものにすぎないと。
しかしそれで終わってしまえば弱々しい厭世観の域を一歩も出なませんが、
吉川英治氏は
【人間がはかなく限りのあるものだからこそ、この有限の生のなかで、何らかの価値を見出だし、作り上げて行くことが大切である】と強調しておられます。
◆戦国の世に活躍する、織田信長前田慶次郎、その他名だたる武将にも
世の無常を痛感しながら、だからこそ大いなる価値を創造しようとする本能的生命力が宿っています。
だからこそ現代人は古の人々への憧れを持つのではないでしょうか?
平家物語の大きなテーマになっているように
無常の世の中で、『常住なるものはなにか?』ということを模索することこそが人間の正しい生き方、生への真理だと思います。
◆価値を創造し、それをわかりやすく提示し、その価値をより高め、身近な人から万人までに広め、またその万人が価値を高め、子子孫孫に広め、高め、伝えることが、人の幸福につながります。
そして個人の幸福は必ず、社会の幸福につながります。
平家物語にはそこまで深く書かれています。
◆人の生命はまさに『妙』で
価値は無いけど価値はある
価値はあるけど価値は無い
すべては自分の生命(意思)が決めること
なのではないでしょうか?

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